接頭辞【語源】 ab-, abs-

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単語の頭に付く接頭辞。接頭辞+語根+接尾辞を基本として英単語が成り立っている。
この接頭辞一つで単語の意味が大きく変化する場合が多いので主要な接頭辞を理解していると、知らない単語でも大まかな意味を掌握できる可能性が高まるため、非常に重要だ。

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接頭辞 ab-, abs- の持つ意味

ab-, abs-
には、主に「離れて」というイメージがある。

数の多い ad- とその変形版である(as-, ac-, ag-, al-, ap-, at- )とは全く違う意味なので混同しないよう要注意だ。

ab-, abs- の関連語

absent(⇔ present)
(DUO 294-60) ab- 離れて + sent 存在する → 離れて存在する → この場にいない → 不在の、欠席の(形容詞) / …を欠席する(動詞)

 ↳     absence
(DUO 294-60) ab- 離れて + sent 存在する + -ce (名詞化)→ 離れて存在すること→ この場にいないこと→ 不在、欠席(⇔ presence)

absorb
(DUO 902-1196) ab- 離れて + sorb 吸う  → 吸って離れさせる → 自分の方へ吸って離れさせる → …を吸収する、…を夢中にさせる

 ↳    absorption
(DUO 902-1196) ab- 離れて + sorp(= sorb) 吸う + -tion (名詞化)→ 吸って離れさせること → 自分の方へ吸って離れさせること → 呼吸、熱中、没頭

abundant
(DUO 1125-242) ab- 離れて + und 波 + -ant(形容詞化) → 波があふれて離れていくような → 豊富な

  ↳   abundance
(DUO 1125-242) ab- 離れて + und 波 + -ance(名詞化) → 波があふれて離れていくような様子 → 基準を越えてあふれている様子 → 豊富、たくさん

  ↳   abound
(DUO 1125-242) ab(o)- 離れて + und 波  → 波が離れるほど水であふれかえる → あふれるほどある、たくさんある(自動詞)

abundant と abandon の違い

abundant と abandon は、非常に紛らわしい似通った単語だ。丸暗記しようとすると綴りも含めて混乱し易いのだが、語源を辿ることによってしっかりと覚えることができる。
まず、接頭辞が違う。前者は ab-(=abs-)「離れて」で、後者は ab- ではなく a-(=ad-,ac-等)「に向かって」 なのだ。ad-系は後ろに続く語根の先頭の綴りによって変形バージョンが沢山あるのだが、ab-に変形するものは無い。しかし abandon のように a- のあとに語根が bandon となると紛らわしいのは事実だが、語源で覚えておくと確実だ。
語根は、前者が und 「波」、後者が bandon 「支配」だ。
それらがシナプスのように組み合わさって abundant(波が溢れて離れるイメージ) と abandon (相手の支配に向けて自分は放棄するイメージ)となっているので、それぞれの語源のイメージが浮かべられると記憶に役立つ。

abortion
(DUO 2017-436) ab- 離れて + ori 生まれる + -tion(名詞化) → 生まれることから離れる → 生まれなくすること → 妊娠中絶

 ↳     abort
(DUO none) ab- 離れて + ori 生まれる → 生まれることから離れる → 生まれなくする → 中絶する、中止する

absent (⇔ present
(DUO 294-60) ab- 離れて + sent 存在する → 離れて存在する → この場にいない → 不在の、欠席の(形容詞) / …を欠席する(動詞)

 ↳     absence
(DUO 294-60) ab- 離れて + sent 存在する + -ce (名詞化)→ 離れて存在すること→ この場にいないこと→ 不在、欠席(⇔ presence

absolutely
(DUO 241-49) ab- 離れて + solut  解く + -ly (形容詞化)→ 解くことから離れて → 解いて他とは離れて → 解決して開放されて → 絶対的に、完全に、疑問の余地なく

  ↳   absolute
(DUO 241-49)ab- 離れて + solut  解く → 解くことから離れた → 解いて他とは離れたて → 解決して開放された → 絶対的な、完全な

abstract
(DUO 99-21)abs- (=ab-) 離れて + tract 引っ張る → から離れて引っ張る → 何かから引き離す → 明確なものから引き離された → 抽象的な(⇔ convrete 具体的な)

  ↳   abstraction
(DUO 99-21)abs- (=ab-) 離れて + tract 引っ張る + -ion(名詞化)→ から離れて引っ張ること → 何かから引き離すこと → 明確なものから引き離されたこと → 抽象概念

absurd
(DUO 1757-381) ab- 離れて + surd 静かな  → 静かな状態から離れて → 耳障りな、不条理な、ばかげた

 ↳    absurdity
(DUO 1757-381) ab- 離れて + surd 静かな + -ity (名詞化) → 静かな状態から離れた様子 → ばかばかしさ、不合理、不条理

abuse
(DUO 668-144)ab- 離れて + use 使う → 離れて使う → 普通からかけ離れた使い方をする → …を乱用する、…を虐待する(動詞)/ 乱用、悪用(名詞)

advance
(DUO 1223-263) ab– 離れて + ante 前に → 前に離れて → 前進する、進歩する、…を促進する (動詞)/ 前進、進歩(名詞)

 ↳    advanced
(DUO 1223-263) ab– 離れて + ante 前に + -ed(形容詞化) → 前に離れたような → 前進するような → 進んだ、先端の、高等な

※ ラテン語 abante(以前から)由来のため、接頭辞は本来 ab- であり、何らかの要因で ad- に変化したようだ。

advantage
(DUO 2504-545) ab– 離れて + ante 前に + -age(動詞化)→ 前に離れること → 前にあること → 利点、有利

 ↳    advantageous
(DUO 2504-545) ab– 離れて + ante 前に + -age(動詞化)+ -ous(形容詞化) → 前に離れたような → 前にあるような → 有利な

※ ラテン語 abante(以前から)由来のため、接頭辞は本来 ab- であり、何らかの要因で ad- に変化したようだ。